アメリカのお薬 と 日本のお薬 の違い

ハワイ旅行に行った友達が、

「頭痛でタイレノールを買ったら凄く効いた」

との事。  

 

日本とアメリカでお薬はどう違うのか?

気になりますよね。

 

たいがいにして薬局で買える 一般用医薬品 (OTC) ではアメリカも日本も同じ成分のものが多いです。但し、違うのところはその分量がアメリカの方が多いことが多く,代わりに、日本の物には,生薬や漢方薬などが足されていることが多いです。

 

アメリカで知名度の高いOTCから比べてみましょう。

 

例えば,日本の薬局で普通に買えるタイレノールAは300mg. 子供用は50mg. アメリカで一般的ものはタイレノール エクストラストレングス 500mg あまり置いてないregular で325mg そして子供用の噛んで飲める160mg。

 

 

503B 薬局の現状 ~Outsourcing Sterile Compounding~ Part 1

アメリカFDAは2013年に ”503B” ”アウトソーシング 無菌調剤をする薬局”の登録制度をはじめました。

無菌調剤に対して様々な規制が増える中、この規制のために費やす費用、トレーニング、設備そして設備を備える病院内でのスペースなどを検討すると、アウトソーシングという答えにたどり着いた病院が数多く、需要が高まっている業界です。

 

まずは503Bというカテゴリーができた背景を見ていきましょう。

 

Sterile Compounding (無菌調剤)は法律上、503Aと503Bに2種類に分けられます。503Aは特定の患者に対して医師がだした処方箋による調剤で、一般的に薬剤師が行う仕事です。 一般的な点滴などはこのカテゴリーそのほとんどが病院内で行われますが、病院外でも無菌調剤室のある薬局もあります。

 

503Bとはアウトソーシングという言葉通り、病院や日帰りの手術センターなどに、特定の患者のためではなく、処方箋が近未来に来るという想定で薬を卸す薬局です。この503B事業は限りなく製薬業者に近く、調剤(配合に近い)に薬剤師指導は必要なもの薬局としての登録は不必要で、cGMPの規制の厳守も求められます。

 

503B 登録ができた背景

 

アメリカの薬剤歴史ではCOMPOUNDINGという作業は薬剤師のidentityともいえるべきな業務で、現代医学ではあまり必要でまなくなった現代でも、薬剤師のCOMPOUNDINGは法律でも守られてきました。

 

COMPOUNDINGは ”新薬” としての登録と規制が必要ではないか、というう意見がある中、1997年には ”503A” がFDAの法律に付け加えられ(503A,FD&C Act by the Food and Drug Administration Modernization Act)近年のCOMPOUNDINGに対する法律が定められました。 

 

~2012年 NECC 髄膜炎事件 (New England Compounding Center)~ 

薬剤師なら誰でも知っているこの大事件こそがが、503Bができた理由です。NECCという薬局では州をまたぐ、大規模場なCOMPOUNDING事業を展開していました。硬膜外ステロイド注射(Methylprednisolone epidural injection) に fungusが混入し、800人の患者が髄膜炎とその合併症の被害にあい、70人以上が死亡する大惨事となりました。

 

この当時は、FDAのCOMPOUNDING薬局へのオバーサイト力が明確にされていませんでした。そのため、NECCのような大規模なCOMPOUNDING薬局にも監査・規制は制限されていました。

 

このNECC事件をふまえてFDAは新たにアウトソーシングする調剤薬局(薬局でなくてもよい)を503Bとして登録させ、規制を始めました。

 

 

 

 

 

 

 

薬剤師とバナナ~ 自衛隊員の朝ごはんの調達に挑む薬剤師 in USA

薬剤師になって13年。薬局のカウンターで何万回と電話をとってきましたが、やはり一番心に残っている電話はハイチの大地震直後の2010年の一本。

 

 

ある朝、

”Hi! 薬剤師です。"

と、電話に出ると、フロリダのある支店からの電話でした。

”日本語のできる薬剤師はいますか?”

”私ですが、どんなご用件でしょうか?”

 

 

聞いてみると、日本の自衛隊の方が薬局に来ていて、何が欲しいかわからないとのこと。

 

電話に出た自衛隊員の方によると、翌朝、ハイチの救援に派遣されるまでフロリダに待機するので、全員分の朝食となるバナナの調達に来たそうです。大変な人数だと勘違いした私は、フロリダのディストリクトオフィスの偉い人に電話して, バナナの仕入れを請願しました。

 

❓ ❓ 🍌

 

薬局でバナナは。。。さすがに扱っていませんので、偉い人から翌朝までの調達は不可能と言われてしまいました。

 

なんだかんだで1時間ほど奮闘した後、

 

フロリダの薬局の店長さん

”There is a Walmart 3 miles from here."

 

それを早くいってくださいよ。。。

”3マイルほど先のウォールマートで買えるそうですが、徒歩では遠いですよ。”

”自分はソルジャーなので体力にはじしんがあります!”

なんとも頼もしいことでしょう。

かくして、自衛隊朝ごはん係隊員さんはは3マイル歩いてバナナを買いに行ったそうです。

お疲れ様です。そしてハイチの地震の救助活動ありがとうございました。

 

アメリカというのは本当に色々な国や言葉の違う方々から成り立っていて、私の同僚だけでも20か国語ほどの言語が話せるような、グローバルな社会です。WALGREENSでは2007年ころから薬剤師の言語登録によって、アメリカ全土からいろいろな言葉で薬剤師による通訳が電話で行われています。

 

最近では法律で医療専門の通訳をつけることが義務図けられているので、病院の予約時、リクエストをすれば無料で通訳を呼んでいただけます。保険会所でも日本語を話せる方につないでもらえます。英語ができても専門外なことって、なかなかりかいしにくいですよね。日本語でも医療専門の言葉は難しいものです。英語も日本語もできてもバナナのオーダーができなかった薬剤師のアドバイスです。是非、医療通訳制度ご利用ください。

誰にも聞けない シラミ事情 in USA 子供が学校からシラミをもらってきたら。。。

シラミ! えっ!うちの子も?

スクールナースが見つけると,学校からまれに,お便りが来ますが,清潔にしているからうちの子は大丈夫って思いますよね。

 

実は皆さん口にはしませんが,アメリカでのもかなり流行っています

薬剤師をしていますと,裕福層や新興住宅地でもシラミの相談を頻繁に受けます。しかも最近では,薬に免疫のできてしまっているシラミが多く,市販薬(OTC)ではなく、処方箋での対応しなければならないケースも数多くあります。

 

シラミ対策なんて,なかなか人には聞けませんよね。

そこで,シラミのお薬載せてみました。

シラミは英語で Lice (ライス) です。 そして,おススメは NIX です

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Nixは 卵 (nit)も退治できて効果が2週間ほど継続します。RID は卵を殺せないので、7-10日後に2回目のトリートメントをしなければなりません。使い方は 2回目のトリートメントがあるかないか以外はどちらも同じです。

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使い方

1、乾いた**きれいな髪の毛にお薬をムラなく塗る。この時髪が濡れていると,どこにお薬が付いているのかわからなくなります。

2、10分したら薬を洗い流す。

3、付いている目のとても細かいクシで卵をとる。

 

**コンディショナー、リンス,トリートメント、などは卵を守る可能性があり,2週間ほどおススメしません。

 

シラミは人から離れれば72時間程しか生きられませんが、心配ならばベッドやソファーに使えるスプレーもあります。

極まれに,シラミのお薬にアレルギーのある方もいます。オーガニックなものや、クシだけでの対応をする方もいますが、かなり大変なのに作業です。

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2回目のトリートメントをしても、シラミが戻ってくる場合には、処方箋での対応が必要かもしれません。医師に相談してくださいね。

子供の発熱 〜アメリカ対応

子供の発熱。ただでさえ大変なのに、アメリカで慣れないお薬選び。もちろん病院に連れて行くのが1番ですが、抗生物質の処方箋と,”give some Tylenol” (タイレノールあげといて。)の一言で帰される事が一般的。

 

そんな時に,これだけ知っておけば,何とかしのげるお薬情報です。

 

解熱剤 (fever reducer) には2種類 薬局で買えます。痛みにも効きます。

タイレノール (Tylenol)  160mg/5ml

イビュプロフェン(ibuprofen) 100mg/5ml

 


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タイレノールは産まれたての赤ちゃんにも処方されます。ジェネリックでもプライベートブランドでも大丈夫です。Acetaminophen (アセトアミノフェン) と書いてあります。赤ちゃん用の小さいシリンジ付きが右 (乳児の予防接種の時すすめられるのがこれ) で、子供用が左ですが成分も濃度も一緒です。

 

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イビュプロフェン は二つブランド名があって、Advil (アドビル と Motrin (モートリン) があります。こちらにもプライベートブランドもあります。6ヶ月の赤ちゃんから大丈夫です。空腹時には服用しない方が好ましいですが、赤ちゃんに食後なんてないですよね。そんな時は、お菓子1個でもオーケーです。水なしで噛んで飲めるものもあります。 (右)

 

熱がとても高い時には、“タイレノールとイビュプロフェンを交互に3時間おきにあげなさい”という指示が医師から出されるのが一般的です。

 

しかし,逆に38度弱 (摂氏100度以下) ならば、お子さんの免疫力が頑張っている証拠なので、ほとんどの場合、解熱剤は必要ないです。(熱性痙攣を起こしやすいお子さんや、特殊な病気の場合を除きます。)

 

 

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座薬の解熱剤 ( suppository)

どうしても子供が薬を受けつけない時には,タイレノールは座薬もあります。FeverAll 赤ちゃん用の80mg,子供用 160 mg,大人でも使える300mg もあります。分量を調整するには半分に切って頭だけ使うことも可。

 

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冷えピタみたいなもの. (Cooling patch)

頭に貼って冷たい Be Cool というパッチ。氷枕や、冷やすパックも売っていますが、ジップロックに砕いた氷でも、代用できます。

 


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体温計 (thermometer) 

一般的なデジタル体温計から、耳体温計,額体温計,額につけるシール型体温計など様々なものが薬局に売っています。お尻やくちで測る時用の体温計のカバーも。 華氏( F)  が 摂氏 (C)  の代わりに使われます。デジタルの物は体温計も摂氏と華氏を変換出来るボタンがついています。変換は簡単にウェブでサーチできますが,ざっくりですと,100F が大体37.8C ほどです。100Fを超えたら熱っぽい、103F でかなり高いという感じです。

 


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水分補給 (electrolyte)

Pedialyte が一般的です。ミネラル補給に適していて糖分も少ないです。いろいろな味がありますが、熱のあるお子さんには凍らせて,少しずつあげるがおススメです。凍らせる専用のパッケージでも売っています(右)

 

 

 

 

 

 

アメリカのお薬が高すぎ! あるある~安くなるかもテク

アメリカの薬局 ”あるある” で、一番が、やはりお薬が高額なところでしょうね。

 

薬局のカウンターで 

”保険適用外でで10万ドルです。”

なんて言われることもあります。

”えっ”ってなりますよね。

 

まずは、落ち着いて。あなたの保険はどれですか?

1、海外旅行保険

2、留学生用の長期保険、留学先の大学で入っている健康保険

3、現地の健康保険 (出向、現地採用の会社から出ている保険)

4、健康保険ではなく、交通事故、ホテル、レストラン内などでの怪我の治療薬

5、保険なし

 

1、海外旅行保険の場合

高額なお薬でも後からレシートを必要書類と一緒に提出すれば、全額帰ってくるはずです。(保険の上限などはあるかもしれないので、詳細を読むのを忘れずに。)

 

高額すぎて、心配な場合、もしくは、手元にお金がない場合には、保険会社の現地電話番号にかけて聞いてみましょう。直接払っていただけることもあります。

 

**ただし、病気の予防のためのお薬、予防接種、健康診断、それから、旅行前からある病気やケガの治療のためのお薬は、例外です。

こちらの費用はカバーされませんので、旅行先には持病のお薬、絶対に忘れないでくださいね。

 

2、留学生用の長期保険、留学先の大学で入っている健康保険

留学生の海外長期保険は大体海外旅行保険と一緒です。1、をよんでください。

 

留学先の大学などで健康保険に入れることがありますが、これはケースバイケースです。

普通の健康保険と同じものもあれば (3、を読んでください。)、基本的に、大学構内での医療機関を利用して、重病の時だけ、学校外の薬局が使える、という、保険もあります。

まずは校内にある機関を最大限に利用してください。

どうしてもお薬を学校外の薬局で買う場合には、20%負担から全額負担になることもあります。

 

3、現地の健康保険 (出向、現地採用の会社から出ている保険)

アメリカにはたくさんの種類の健康保険があって、その保険料も、自己負担額もピンキリです。

いい保険ですと、お薬の自己負担額 ”$0” なんていう、ものから、自己負担額が 5000ドルになるまで、全額負担。なんていうものまであります。(そのあと自己負担額が%で決まっていたり。)

大体は

ジェネリック医薬品 $5-$20

それ以外 (ブランド brandname drug)  $35-70

特別枠 (Specialty, Prior-Authorization)$50-$200

くらいの COPAY (規定自己負担額)があります。

 

まず、高額なのが保険適用外であれば、適用されるものがあるか、薬剤師か医師に、きいてみましょう。 そのお薬でなくても、大抵は、効果が同じで低価格なものがあります。処方箋を出したからと言ってそのお薬を買わなければいけない決まりはありません。

 

医師、薬剤師に、他の薬の名前を教えてもらったら、スマホから、保険会社のウェブサイトで、自分の自己負担額額か簡単に調べられます。

 

英語が苦手、という方は、健康保険会社に電話してみてください。法律で正式な通訳を保証されています。日本語で対応してくれる方につないでくれます。

 

どうしても、そのお薬じゃなきゃダメ。の場合

事前認証 (Prior Authoprization)が必要かもしれません。医師に保険会社に必要な書類を提出してもらいます。書類さえ認められれば 自己負担額高めですが、すぐにカバーされます。(多忙な医師によっては、この書類に手数料を取る場合や、時間がかかる場合があります。)

 

保険適用内でも自己負担が高い場合。

そのお薬の製薬会社のウェブサイトを見てみましょう。

ブランド薬の自己負担額が減るクーポンがあったりします。

(**サーチエンジンを使うときは気をつけてください。正式なサイトのクーポンを使ってください。ディスカウントカードとは違います。)

 

おかしなことに保険会社の契約によってブランドのほうがジェネリック薬より安い。なんてこともあります。

4、健康保険ではなく、交通事故、ホテル、レストラン内などでの怪我の治療薬

こんなケースは自動車事故保険、企業の賠償保険、などから全額、精算されます。企業の場合は直接薬局に支払われることもあります。

自動車保険などは上限があったり、賠償が遅いこともあります。保険会社に来てみましょう。

 

5、保険なし

旅行の場合。ツアーや、航空券を買った、クレジットカードの保証が聞く場合があります。カード会社の現地番号に電話してみましょう。

 

先程、 ディスカウントカードのことがチョイっとでましたが、"pharmacy discount card" グーグルすれば、いっぱい出てきます。

最近ではアプリもあって、先にディスカウントされた値段を払って、薬局でコードを見せるだけ。というのもあります。

 

最後に、アメリカの薬局では保険適用前提なので、薬局によって定価 (保険適用前の値段、Cash Price)かなり値段が違うこともあります。電話で聞いてみる価値あるかもしれません。